入社4年目でマーケティンググループのリーダーに抜擢された添田。思い切った登用の裏には、役割を任せることでそれに見合う能力がつくことを期待する「期待人事」的側面があった。しかし添田はその「期待」を遥かに越え、さらにはマーケティングの領域すらも越えた横断的活躍を見せていく。2024年、ジ・エンプロイー・オブ・ザ・イヤー銀賞。「斬り込み隊長」と称される開拓精神と、彼の真ん中にある利他の心に迫った。
1年目。たたき込まれたのは、本質の捉え方。
「俺がお客様だったらこう考えるけどなぁ」。これは入社1年目、営業部時代の上司の口癖です。テクニックよりも数字よりも、お客様が動く時の心理を考える。考えた上で、電話のかけ方一つから細やかに変えていく。型はない、考えろ。そんな上司のもとで育った私は、まずは本質を押さえる習慣を身につけ、あとのことは自分で調べて進むようになっていました。

マーケティング部に異動になったのは2年目の途中から。マーケティングは営業の一つ前の工程にあたり、全く接点のない人にアプローチして接点を作っていく、いわば最初のチャンスメイクの仕事です。自由度は高いものの、そこで何をするかによって後の工程全てに影響が出ます。責任重大。でもそういえば、野球部時代も一番サード。なんだかんだと「先発」役を担ってきた自分には、適性も感じたんです。そこからは、ウェブセミナー、広告、新しいシステムの導入など様々なことに取り組んでは、戻ってくるリード数*と睨み合いを続ける毎日。無我夢中で突っ走り、気づけば4年目でマーケティング部のリーダーを任されていました。
* お客様からの問い合わせ数など、マーケティング施策によって創出された接点の数。
50種以上の競合が、誰もやっていないことを。
国内にRPAの競合は約50種類。マーケティングとして、何をすれば差別化になるか?どうしたら「問い合わせ」というアクションにつながるのか?日々そんな問いをもとにPDCAをフル回転し、トライの数だけ失敗もありました。
しかし思い切りガッツポーズした日もあります。たとえば、これまで静止画とテキストしか使っていなかったウェブ広告に、FCEとして初めて動画を使うことを発案。競合たちがビジネスツールとしてのイメージ押し出した広告を打っているのに対し、うちはうちらしく、社員たちが次々と登場するコミカルで共感を誘うものを企てました。その広告への反応がすこぶる良く、今までにない成果を出すことができたんです。営業がお客様から「あの動画見たよ」と声をかけられることも増え、コミュニケーションという見えない価値にもつながりました。こうした成果は、一声かけたらすぐにみんなが協力してくれるFCEのカルチャーがあって生まれたもの。自分たちらしい勝ち方ができることほど嬉しいことはありません。

全ての成果はつながっている。
それを利用できるか、否か。
実は、私がマーケティングに異動になって2年目に、RPAロボパットDXが「ITreview Best
Software in
Japan」というITツールのランキングで「ユーザーが選ぶ『最強ITツール』」7,300製品中1位になったんです。これは純粋にこれまで導入してくださったお客様たちが製品を評価してくださったおかげであり、何よりセールスのメンバーが手厚くお客様を支援してきた結果ですから、みんなが報われた気持ちになりました。1位となると、RPA検討中の人々にとっては「よく知らなくても1位なのだから検討しないわけにいかない」という位置付けに入ります。問い合わせから契約に至るまで、プラスの効果は絶大でした。
なるほど、営業とマーケティングはこんなふうに影響を与え合うのか。連動して出せる成果は想像以上に大きいのかも……そんなことを感じた矢先、上司からあるミッションが降ってきます。「マーケティングからセールスまでを、一貫して管理するITシステムの導入を添田が進めてくれないか?」。プロセス&テクノロジー事業部全体を、より強固に連動さっせ、もっと価値創出しやすい体質に変えるための一手。通常業務と並行して、挑戦がスタートしました。
活躍=自分だけの活躍じゃない。
それまでの案件管理は、基本的にエクセルベース。全体の数字は見えても、個々の営業のパフォーマンスの差や、どんな取り組みが成果につながっているかなどはほとんど見えていませんでした。そんな中で、事業は拡大を見据えており、人員も案件も大幅に増やす予定。拡大の土台として、「売る」業務の細やかな可視化と整理は喫緊の課題でした。
ミッションを託された直後から、私は営業部長や開発室長、営業のリーダーたちと毎日議論を重ね、課題の抽出をしながらシステムの導入に着手。期待して任せてくれた会社のみなさんをがっかりさせるわけにはいかないという思いで、エンジニア級の知識をゼロから猛勉強して身につけました。さらに、既存のパッケージをどうカスタマイズすれば自分たちにとって意味のある使い方ができるのか、現場との調整はほぼ毎日に及びました。

入社してから一番骨の折れる仕事になりましたが、無事に導入したことで事業部全体の営業効率が上がり、目標達成に大きく貢献。何より社員一人ひとりが自分の仕事をセルフマネジメントできるようになったんです。私は自分の個人成績を上げること以上に、こうやって全員が本当に価値ある仕事にリソースを割けて、結果として全員の成績が上がる方がワクワクする。自分の仕事が誰かにとっての価値創出につながると、FCEに入って良かったと心底思える。結局、私の思う「活躍」の定義って、私だけが活躍することじゃないんですよね。